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ぼくもと さきこ

ボクモト サキコ

旗揚げを決意した時のことだ。彼女に出演依頼した際、「チケットノルマのある舞台には出ないことに決めている」ときっぱり言われたのを覚えている。何としても彼女に出てほしかった僕は予定していたノルマ制度を諦めて、公演終了後、当然のように出来てしまった負債を一人で背負い込むことになった。でも振り返ってみれば、割と早い段階で赤字公演から脱することが出来たのも、そうして煽られた危機感のおかげとも言えるし、どこの劇団にもある無名時代に「役者にチケットノルマを課したことはない」というのはちょっとした誇りにもなった。だから今ではそういう「ぼくもとルール」に感謝している。

判断基準が明快なところは健在で、劇団が何か選択を迫られる局面でも、色々面倒なしがらみから妥協する僕らに反して、実に純粋な決断を下す。時と共にくるくる変わる風景の中で、ひとつぐらいはあった方がいい重たい岩のような存在だと思う。

あと、けっこう持ち物にもこだわっているようで、いつだったか「何かほしい物はあるか」という質問に「たくさんあるが、すべて値が張る」と答えていたのが印象的だ。

紹介文:倉持 裕

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