高宮進(戸田昌宏)とわたる(坂井真紀)はお互い30代後半になって一緒になった夫婦。現在二人の生活にこれといった問題もなく、幸福といっていい。
ある日、休業中のスタイリストであるわたるに断りきれない仕事の依頼が入る。その現場で、わたるは江尻という歳下のスタッフに口説かれる。既婚者だと明かすと江尻は大人しく引き下がった。
そんな出来事をわたるは半ば笑い話として夫に話す。進はからかい混じりに笑う。その場に居合わせた進の旧友・仙波(玉置孝匡)も、わたるの友人・塔子(ぼくもとさきこ)も笑う。
しかし次第に進は、わたるが江尻を「正確に」振ることが出来たのかどうか不安になってくる。江尻に遺恨はないか? たまりかねて進は江尻を家に招くことを提案。当然わたるは反対するも、進は一歩も譲らない。
数日後、江尻がびくびくしながらやって来る。一人では心細く、学生時代の先輩である朝比奈(小林高鹿)という男を伴って……。
ちゃんと諦められたのか、と進に睨まれ委縮する江尻。そこで朝比奈が助け舟を出してやる。
「あれから江尻には彼女が出来たんです」
ようやく安心する進の横で、わたるは不機嫌になっていく。
(まだ何日もたっていないのに……そもそもこれは知らずに済んだ情報のはず)
わたるの胸の内で夫に対する憎悪の炎が燃え上がる……。
覚悟や責任から遊離した<現代の夫婦像>に関する物語。
